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会員生協探訪記 16

2010.12.2(木) 【こうち生協】


ボランティアによる「声の商品カタログ」

こうち生協の共同購入システムは、組合員が商品カタログを見て商品を注文し、翌週それを配送するという仕組みです。このシステムを目の不自由な方にも利用していただけるように、メインの商品カタログ『リプレ』(食品・日用雑貨を掲載)を音声化しています。122日(木)にボランティアのFさんとMさんが録音作業をしているところをのぞかせて頂きました。

Mさんは、生協の機関紙でボランティア募集を知り、社会参加と思って申し込んだとのこと。一方のFさんは、こうち生協の他のボランティア活動に参加していて誘われたそうです。声の商品カタログ『トークリプレ』の作成には、このような朗読ボランティア6人がローテーションを組んで、週に1回、4人で録音をしています。「風邪をひいて声が出なくなった時があって、体調にも気をつけないといけないと思った」というFさん。  

まず、生協からボランティアのところにカタログが郵送されてきて、木曜日までに各自で下準備をしておきます。読みにくい漢字や特別な読み方をする商品名などを生協の事務局に確認するほか、商品説明の工夫も必要です。FさんとMさんは、「商品説明の文章はカタログに書いてあるものを短くして読みますが、目の不自由な方が聞くだけでわかるように伝えるのが難しい。たとえば、ある商品で料理を作るために一緒に買い揃えなければならない材料があるときは、カタログに載っている料理見本の写真も参考にして読む内容を考えますし、『新登場』のマークのある商品は詳しく説明します。お正月用のかまぼこなどは、カタログの商品説明には切り口の絵柄のことは書かれていない(掲載されている商品写真で見てわかる)けれど、録音では柄の説明を加えたりもします。」と話してくださいます。なるほど、お二人が読み上げているカタログにはたくさんの付箋が貼られ、びっしりと書き込みがしてありました。

▲録音中の会議室の表示。録音作業が毎週木曜日なので「木曜くらぶ」とネーミングされています。
▲録音中の会議室の表示。録音作業が毎週木曜日なので「木曜くらぶ」とネーミングされています。
▲録音作業は2人ひと組。一人がカタログを読み、もう一人がその横で注文番号や価格の読み間違いがないようチェックしています。
▲録音作業は2人ひと組。一人がカタログを読み、もう一人がその横で注文番号や価格の読み間違いがないようチェックしています。

出来上がった『トークリプレ』はCDでコピーを作成し、翌週月曜日から登録している利用者のところに届けられます。利用者は、CDを聞いて注文する商品を決め、インターネットや電話で注文したり、家族の方にOCR注文書に書き込んでもらうなどしています。現在、『トークリプレ』の利用登録をしているのは、高知県内全域で16人。2009年度にカセットテープからCDに変えて複写作業が軽減され、利用者の増加に対応しやすくなったそうです。

FさんとMさんは「利用者さんにとって『短く、わかりやすく、聴きやすく』といつも思っていますが、利用者さんの満足度が気になります」とおっしゃっていました。こうち生協の声の商品カタログ『トークリプレ』は、録音する人が利用する人の暮らしに思いを寄せて、心をこめて「作りなおしたカタログ」でした。世の中に自動音声化のアプリケーションも普及していますが、機械的な変換作業では作ることのできないものが、毎週毎週作られているのだなあと感じました。

(S)

▲付箋や書き込みがいっぱいの商品カタログ。下準備のご苦労とボランティアの皆さんの熱意がうかがえます。
▲付箋や書き込みがいっぱいの商品カタログ。下準備のご苦労とボランティアの皆さんの熱意がうかがえます。
▲ CD化によって、聞く人にとっても、商品分類ごとの頭出しが容易になるなどのメリットが生まれています。ケースには「トークリプレ」という点字テープも。
▲ CD化によって、聞く人にとっても、商品分類ごとの頭出しが容易になるなどのメリットが生まれています。ケースには「トークリプレ」という点字テープも。