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会員生協探訪記 27

2011.9.20(火) 【自然派こうち】


一頭買い牛肉セットの『短角牛』商品学習会

理事さんを含め10名余りの参加がありました
理事さんを含め10名余りの参加がありました

自然派こうちの共同購入に牛の一頭買いがあります。『一頭買い』とは牛一頭分の部位を毎月違うセットにし、半年かけて届けてくれる商品だそうです。一頭丸ごとの利用と登録制によって畜産農家の安定した生産基盤を得ることができるのです。

 今回、「北海道短角牛」の一頭買いを初めて取り扱うことになり、学習会を行うとのことで参加させていただきました。

 

『一頭買い』の短角牛を育てている北十勝ファーム(有)とその牛を加工しているファーマーズジャパン(株)の方が、北海道から来られ、お話をしてくださいました。

 

 ファーマーズジャパンとは「日本の農家たち」という意味で、安全で良質の商品生産を行う農家の人たちと消費者の 橋渡し的な存在になりたいとの思いから、この社名を付けたそうです。食の安全安心にこだわりを持ち、生産から加工まで自社で管理されていて、無塩せき・着色料などを使用せず安全第一で取り組まれているとおっしゃっていました。

 

 北十勝ファームは足寄(あしゅろ)町に東京ドーム10個分の本場と音別町にドーム40個分の農場があり、約600頭の牛が飼育されていてそのうち90%が短角牛だそうです。水道はなく天然水のみを使用されていて、 餌も、自給率1,200%の十勝で採れた原料を中心につくられた飼料を与えられています。また、北十勝ファームで作られた堆肥を周辺農家で使用してもらっているため、飼料購入、堆肥輸送または田畑農家の堆肥購入のエネルギーを削減させることが出来ているとのこと。そして、この地域循環農業の取り組みによりCO2,CH4,N2Oの排出量も抑えられ、地球温暖化負荷が低くなるという、地球にも優しいお肉なのです。

 短角牛は放牧に適していて、牧場風景のスライドを見せて頂きましたが、青い空と緑の広い牧草地にのんびりと横たわったり、草を食べる牛の姿は絵葉書のようでした。

 子牛が生まれると母子を離して管理することも多いそうですが、こちらでは離すことなく母性の強い短角牛は子牛と一緒にいられるそうです。牛舎の敷料にも気を配り、また敷地内に炭を埋め込み有用菌バランスを整えているとのことで牛舎にはイヤな臭いがないとのこと。このように、手間暇かけて、ロボットなどで管理することもなく、人間が一頭一頭愛情をこめて世話し観察することによりストレスの少ない牛が育つのです。

 和牛は、黒毛和牛97%に対して短角牛は1.5%しかいないそうで(ちなみに、高知県民になじみのある土佐赤牛が属する褐色和牛は1.3%)、貴重な牛たちなんですね。

 お話して下さった、上田さんの優しくにこやかな表情を拝見し、すくすくと育つ牛たちが目に浮かびます。 

試食中
試食中
きれいな赤色のしゃぶしゃぶ肉
きれいな赤色のしゃぶしゃぶ肉
しゃぶしゃぶにして頂きました
しゃぶしゃぶにして頂きました

お話しを伺った後、短角牛を試食させてもらいました。まずは、バラ肉を炒めて、四万十町の塩を付けいただきました。脂肪の少ないのが特徴の短角牛ですが、バラなので程よく脂身もあり、やわらかくて塩と合ってとてもおいしかったです。次はしゃぶしゃぶ肉をいただきました。短角牛らしく赤身が多く、おいしそうなきれいな赤い色をしています。食べてみると脂身が少ない分歯ごたえがしっかりしています。噛み切れないわけではないので、程よい硬さです。噛めば噛むほどお肉の味が口に広がります。牧場の方の愛情を思うと、おいしさが倍増しました。今回はゴマだれだったので、ポン酢でも頂いてみたかったです。塩でもおいしかったですよ。

 

 試食の後、皆さんが色々 質問されていました。その中で「ここまでくるのに大変だったでしょうね」という問いに「大変でした」と即座に答えられた上田さんが印象的でした。脂身の多い霜降り肉を好む日本で、短角牛を育てるのは大変ことだったのでしょう。チラシに「日本人として日本の貴重な資源、日本短角種を次の世代に繋ぎたい、その為にも、多くの方々に日本短角種の牛肉を食べて欲しい」とあります。上田さんの熱い思いを感じるられる学習会でした。

 

(F)