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9|| 「みんなで考えよう、食の未来」 ~コープ自然派こうち 創立15周年記念講演会

2010.6.24(木)【コープ自然派こうち】


   コープ自然派こうちさんが15周年を迎えました。それを記念して記念講演会が行われると伺い、さっそく取材にお邪魔しました。会場は高知市高須にあるサンピアセリーズ。託児室も準備されていて、会場のあちこちに赤ちゃんを抱っこした組合員さんが見られました。記念講演の講師は元小学校校長先生の丹下晴美さん、テーマは「みんなで考えよう、食の未来」です。

最初の切り口は「食のグローバル化」。日本の伝統食の筑前煮の材料がすべて輸入品だったという身近な例や、農業の大規模化、品種の集中化をすすめて国外への販売を政策的に進めている国の例などをあげ、食のグローバル化が急速に進んでいることを学びました。丹下さんは「でも、私たちが望んでいるのはどういう形なのでしょう?」と参加者に問いかけます。

 次に、世界の学校給食事情を紹介しながら、「子どものときに身に付いた食習慣を変えるのは難しい」と給食を通じた食の教育の大切さを指摘されました。スローフード発祥の国で伝統食にもプライドを持つイタリアの例などから、「農業の在り方と食生活が密接に関係している」とも。フランスのある村では、農薬を大量に使う慣行農業から有機農業に転換する政策を掲げた当初は反発もあったが,子どものために給食を作るスタッフや農薬の害に苦しんできた農家の人たちから変わり始め、今では地域を挙げて持続可能な農業にしていこうとしているそうです。

▲多くの参加者が熱心に耳を傾けていました
▲多くの参加者が熱心に耳を傾けていました
▲ 会場に掲げられた「私たちの理念」
▲ 会場に掲げられた「私たちの理念」

しめくくりのキーワードは「自立した消費者として賢い選択を」です。丹下さんは、法律や国の政策で現状を変えていくこともできるが、私たち消費者にできることもあると言います。イギリスでは「誠実な農家を守るための活動」が進められ、アメリカには「サスティナブル・シーフード・ガイド」といって、天然の水産資源に影響の少ない漁法でとられている寿司ネタを客にお勧めする寿司バーがあるそうです。一方、日本のカツオ一本釣りの会社が「海のエコラベル」を取得したけれど、これに対する評価は国内よりもむしろ海外でのほうが高いとのこと。丹下さんは「力を合わせれば何かができるはず!長い時間がかかるけど子どもの食の教育をしないと未来にはつながりません。子どもたちに食や農の体験させてあげてください。菜園で作ったものを食べる、その過程で子どもたちは環境との関係や野菜を作る人とのつながりを豊かに感じとってくれます」と言います。また、アメリカのある都市でリーダーシップをとってコミュニティづくりを進めている生協が大切にしたのが、日本の生協の「連帯」という考え方だったと紹介してくださいました。そして、自分たちがコミュニティを作り替えていこう、ジグソーパズルがかみ合うように、それぞれの人がアイデアを出しあっていこうと提起されました。

最後に、コープ自然派こうちの東條理事長が「生協をやっていて元気が出てくるお話をしていただきました。私たちにも変えることができるんですね。大きなこともですが、小さなことから、できることから少しずつ変えていきましょう。」と会場の組合員さんに呼び掛けていました。

 

自然派の方に「ぜひ」とすすめられてご相伴したコーヒーは、コープ自然派オリジナル商品。インスタントコーヒーですが、とても飲みやすくおいしかったですよ。講演会の会場には、大きな額に入ったコープ自然派さんの理念が掲げられていました。「私たちは自然と共存し、いのち輝く夢あるくらしを創ります」印刷ではなく、筆と墨で力強く書かれています。机の上には、ガラス瓶に野の花が活けられていました。当日朝、摘んできたらしいです。壇上の盛花には、なんと、野菜が使われています。会場のそこかしこに、自然派さんが大切にしている「自然」「いのち」「食」を感じることができたのが印象的でした。(S) 

 

▲  参加者の机を飾るのは野の花のブーケ
▲ 参加者の机を飾るのは野の花のブーケ
▲ 野菜の盛花( スイカ、パプリカ、トウモロコシなどが使われていますが、わかりますか?)
▲ 野菜の盛花( スイカ、パプリカ、トウモロコシなどが使われていますが、わかりますか?)